追懐 リアス海岸の朝

リアス海岸と言うと、真っ先に岩手県三陸海岸を思い浮かぶと思いますが、志摩半島~紀伊半島にかけてもリアス海岸が連なります。そのリアス海岸をバックに、キハ81を先頭に荷坂峠に挑む『くろしお』の記事が、1977年8月号のレールガイNo09に載っていました。その場所は、荷坂トンネルと国道42号線がクロスする辺りからの俯瞰。光線は終日逆光と言う悪条件でした。、その記事から間もなく、和歌山駅-新宮駅間の電化でキハ81が姿を消し、続いてDF50も1980年3月に終焉を迎え、90年に入ると『南紀』で使われていた80系も、いよいよ姿を消す事になりました。その美しいフォルムの80系気動車と、リアス海岸をひとつにできないかと考え、ある年の冬の朝、目星を付けた場所に行ってみる事にしました。ここへのアプローチは徒歩のみ。通行の邪魔にならないスペースに車を止め、延々と続く上り坂を、白い息を吐きながら歩く事40分。連続するトンネルの間を見渡せる所が見付かりました。余裕を持って来たので、30分くらいは待ってでしょうか、名倉川橋梁を渡る音が聞こえると、待ちかねた『南紀』が姿を現しました。次の『南紀』まで待てば陽が回ったのでしょうが、さすがにこの場所で約3時間の時を待つ事ができませんでした。
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